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【民事信託その7】「8050問題」と民事信託①

2019年11月14日更新

先日、内閣府が2019年春に発表した調査結果を目にする機会があり、衝撃を受けました。

そこで、今一度"新しい相続のかたち"としての民事信託の活用可能性を探ってみたいと思います。

 

上記調査とは、日本における40歳から64歳までのいわゆる『ひきこもり』が61.5万人いるというものでした。

内閣府は別の機会に15歳から39歳までの『ひきこもり』の数値も調査しておりまして、その際は54万人いるということでしたので、今ではさらに増えていると思います。

 

すなわち、労働力として活躍を期待されている人口120万人が『ひきこもり』に該当するという衝撃の数値といえます。大体ですが、100人に1は『ひきこもり』状態になっているのです。

 

先日、美容院でマスターと何気なく話した内容を思い出しましたが、ぱっと浮かぶだけでも、身近に2,3人いるとおっしゃっていましたし、私自身も同じ数字が浮かんできますので、本当に身近な問題になってきたのですね。

 

事を深刻にしているのは、数値だけでなく『ひきこもり』が高齢化してきているという点です。そこで生まれた言葉が8050問題」で、これは退職して年金生活の親(80代)が、無職で『ひきこもり』の子(50代)の生活の面倒を看ているという状況から生まれました。

 

年金の支給額は、決してそれだけで老後を豊かに生活していく満足のいく金額ではありません。安倍政権も老後は2000万円不足すると一時言っていましたが、いまの超高齢化少子化の流れに歯止めがかからない限り、必然といえそうです。つまり、「8050問題」というのは、敷衍すると高齢で年金生活の親の貯蓄額を減らし、老後破綻のリスクを高めるという問題もはらんでいるといえます。

 

ひきこもりの原因は様々だと思います。たとえば、発達障害で人とうまくコミュニケーションをはかることができない、学生時代体験したトラウマで社会に出たくないや、私自身の身近で一番多いのは、一度社会に出て就職したものの、仕事や人間関係で心に傷を負ってしまし、再就職もうまくいかなくて『ひきこもり』になるという原因です。

 

心の病気は目で見えません。そのため、社会の理解が得られない時代もありましたが、いまでは随分と周知理解されてきたと思います。また、自治体やNPOも『ひきこもり』対策に力を入れて様々な支援を行っておりますので、今後は流れが変わるかもしれませんね。

 

支援策としては、就職のサポート・障害年金の支給・病院での自立支援医療などいろいろとありますが、やはり一番重要といいますか、親が心配しているのは、

 

「自分たちが死んでしまった後、この子の生活は大丈夫だろうか!?」

 

という点ではないでしょうか?

 

そこで、次回は『ひきこもり』問題への民事信託の活用法を書いてみたいと思います。


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