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【死後の手続き14】1年以内にやること③

2019年11月08日更新

まずは前回の答えですが、母の遺留分割合は10281号により「3分の1」になりますね。これが、妻だけであれば2号で「2分の1」です。条文通りです!

 

さて、本日は 4.遺留分の放棄(1043条) から一緒に勉強しましょう。

 

(遺留分の放棄)

第千四十三条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

 

★ポイントは「相続開始」「相続開始」に分けることである。

・相続開始前:△(※家裁の許可が条件)

・相続開始後:〇=自由

 

遺留分減殺請求権は「権利」なので、各人の判断で放棄も自由にできそうです。しかし、もしフリーハンドに認めてしまうと、被相続人や他の相続人の圧力や嫌がらせにより、本人の意に反して放棄させられる場合もありえます。

当該権利は遺言を破るくらい強力な権利ですから、慎重に判断しようと家裁を介在させたのです。第三者である家裁が、放棄の代償に応じた財産を得ているか、本当に相続人の自由意思による放棄かなどを考慮したうえで、許可・不許可の判断をします。

数は多くないですが、年間で1000件~2000件程度の事件数があるそうです(司法統計参照)。

 

詳細は後述しますが、遺留分減殺請求権にも消滅時効があります。つまり、行使しないで一定期間が経過すると権利は消えてしまいますので、結果として放棄したのと同じことになります。黙示的放棄とでもいいましょうか。これが条文で認められている以上、当然ですが相続開始後に明示的に放棄することは自由にできます。

 

Qでは、相続人の一人が遺留分を放棄した場合、その効力はどうなるか?

 

10432項に書いてありまして、他の相続人の遺留分には影響がありません。言い換えれば、遺留分を放棄することで、被相続人の処分自由な財産がそれだけ増加することになります。

 

Q最後ですが、「気が変わったので、やはり放棄を取消します」といえるかどうか??

 

明文がないので問題になりますが、遺留分放棄の意思表示に瑕疵や欠缺(民法95etc)・詐欺(96条)といった事情がなければ難しいと考えられています。

家裁による慎重な判断を経ているので、個人的には個人のわがままは通らないと思うので、上記が至極妥当な判断のように感じます。

もちろん、遺贈の約束を反故にされたなどの特別な事情があれば別ですが。

 

今日は以上です。次回は実際に"遺留分減殺請求権"そのものに触れましょう。


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