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【民法改正情報1】~預貯金の払戻し制度~

2019年06月21日更新

20187月に相続に関する民法等の規定を改正する法律が成立し、相続に関するルールが大きく見直されました。

以前当ブログでご紹介した「自筆証書遺言の方式緩和」もその一つであり、今後相続に関する様々な改正が段階的に施行されていくことになります。

 

今回はそのうち201971日に施行が予定されている「預貯金の払戻し制度の新設」についてご紹介したいと思います。

 

【現行制度】

相続された預貯金債権は遺産分割の対象に含まれ、共同相続人による単独の払戻しができない。(平成281219日最高裁大法廷決定)

 

現行制度の下では、遺産分割が終了するまでの間は、被相続人の預金の払戻しができず、葬儀費用や相続債務の弁済などの資金需要がある場合であっても、相続人が一時的に立替えなければならないという問題が発生していました。 


このような相続人にとって金銭的な負担となる問題を解消するため、今回の民法改正では遺産分割が終了する前でも預貯金が使えるよう、家庭裁判所で手続きする方法と、金融機関で手続きする方法の2つの方法について改正・新設がなされました。

 

【新制度】

家庭裁判所で手続きする方法

今までも家庭裁判所に対して「保全処分」を申し立てることで、預貯金の払戻しを認めてもらえる制度はありましたが、その要件は「急迫の危険の防止の必要がある」場合に認めるというきわめて厳格なものでした。

今回の改正ではその要件が緩和されることとなり、家庭裁判所の判断での払戻しがより認められやすくなったと言えます。

 

金融機関で手続きする方法

この方法は今回の改正で新設されたものであり、払戻しの額の上限はあるものの家庭裁判所の判断を得ることなく、各相続人が単独で窓口での払戻しを受けられるようにする制度です。

以下の計算式に従って、単独で払い戻しをすることが出来る額を算出します。

 

相続開始時の預貯金額×1/3×当該払戻しを求める相続人の法定相続分

 

ただし、1つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円まで。

 

※①、②のいずれの方法であっても、払戻しを受けた額は、その相続人が遺産分割により取得したものとみなされるので、実際の遺産分割の際には相続財産から払戻しを受けた額が控除されることになります。

 

以上のように、新制度の下では、遺産分割による公平性を図りつつ、相続人の資金需要に対応することができるようになりました。

 

では、結局どっちの制度を使えばいいのでしょうか?

 

これについては

 

家庭裁判所で手続きする方法→時間と手間がかかるが、金額の上限はない

 

金融機関で手続きする方法→上限額があるが、手続きが簡単

 

といった具合に、それぞれのメリット・デメリットがありますので、相続人の資金需要にあわせた手続きを選択するのがよいでしょう。

 

少し長くなってしまいましたが、預貯金の払戻し制度についてご紹介させていただきました。

この他にも相続に関する様々な改正がありますので、今後も当ブログにて随時ご紹介していきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


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